残念・・・。
言葉がなかった。
あっけなく、7月のハリウッド行きは目の前から消えてなくなった。
LAツアーの7月開催はやはり難しいとのメールを受け取った時の気持ちは、認定コーチ資格を得た今となっては正確には思い出せない。けど、やりとりしたメールからは、当時の僕の意気込みと落胆は感じてもらえるかも知れない。
ここで少し採録してみようと思う。
まず、7月後半にLAツアー開催の可能性があると知った直後、参加を希望する人はいるかどうかというお尋ねメールに対して、僕はこんな返事を、超速攻で送っている。
白石様
とても興味あります(スケジュールとお金の部分は度外視して。気持ちです)
折角学んでいることを実際に演技者として体験して集中的に取り組み、出来ればティーチャートレーニングまで辿り着きたいという希望が、僕にはあります。そのあたりも是非お会いした時に詳しくお伺いしたいと思います。
よろしくお願いします。
位部将人
行動力とスピード感は情熱から生まれる
メールを読むと、僕はもうすでにこの時「認定コーチになりたい」。そこまでたどり着いてメソッドを突き詰めたい、そう考えていたとわかる文面だ。こんなにもきちんと言葉にして自分の意思を表明していたことを改めて知って、自分自身驚いた。
なぜなら、イヴァナチャバックという存在を知ってから、わずか4ヶ月後の意思表明だからだ。
そう説明を加えれば、いかに僕がイヴァナチャバックの演技メソッドに魅了されたのか、その熱、強い情熱を感じ取って貰えるんじゃないかと想像する。
人間、本当に心の底からやりたい!と思ったことは、自分でも驚くような行動力とスピード感で突き進んでいく。
改めて振り返ってみて再認識できたのは、大きな収穫でした。
ただ結局は、参加希望者は3名(僕も含む)だった。
結果、イヴァナチャバックと白石哲也が検討の上、7月開催は見送られることになり2020年2月開催の通常スケジュールのLA Bootcampを待つことになった。
その連絡通知を受け取った直後に、僕はこんなメールを返信しています。
白石様
色々とご尽力ありがとうございました。メール拝見し、感謝と共に、正直とても残念に思いました。個人的には、LAにいく気、満々でしたからね。
ESTAも申請しました。
今回、何人の方が興味を持ってアクションしようとしたのかはわかりませんが、僕が人生で一番大事だと思う「時間」を最大限有効に生かし、アクセル全開でLAに乗り込みたかったです。
ええ!なに?来年かよ〜!マジ!?
これが、包み隠しのない本音です。
ただ、僕はコーチですから、すぐ気持ちを切り替えて、これは何らかのギフトだと受け止め、改めて考え直してみました。
ゴール達成への道のりは遠くなったけれど、目的を何がなんでも獲りにいくという気持ちにも気づけたので、色んなことを考えるきっかけにもなりました。
こんな風に綴っている。
まさしく目の前にある掴めそうな大きなチャンスが、蜃気楼のようにふいに幻になった瞬間だった。ただ、希望を表明しアクションして良かったとも思う。
残念は残念だけど、ツアーを開催するかしないかの決定は、自分の力ではコントロールできない問題だ。どんなに嘆いても仕方がない。
気持ちはすぐ切り替えることが出来たし、実際、2020年2月にLA Bootcampに参加した経験を踏まえて言えば、7月のツアーに参加しなくて正解だったかも知れない。
それくらい、この時の僕は、まだまだメソッドの理解も実戦訓練も足りてなかったのを2020年のBootcampでは、嫌と言うほど思い知らされることになる。
ま、この話はまた別の記事で。
幻のLAツアーから学んだこと
7月のLAツアー開催か否かは、僕がどんなに熱望しようが、僕自身の力ではコントロールできないことでした。
人生には、コントロール出来ることと、コントロール出来ないことがある。
この当たり前の考え方に唸ったのは、元巨人でニューヨーク・ヤンキースでも活躍した松井秀喜選手のインタビュー記事だったと記憶している。
彼が日本球界、またメジャーリーグで所属した読売ジャイアンツやニューヨーク・ヤンキースは、日米それぞれのリーグでも屈指の人気球団で、世間の注目度も非常に高い反面、成績が出せなかったりスキャンダルを起こしたりしたら、その倍返しで選手は否応なしに叩かれる。
スター選手ならもちろん叩かれる覚悟を決めているだろうけど、その対応方法として、松井選手の考え方はとてもシンプルで、僕にはスッと腑に落ちた。
彼にとって、野球の成績は自分の行動、練習した結果だから、これは自分の努力で改善ができる、コントロールできる領域だ。
けど、もし根も葉も無い野球以外の情報やゴシップで、マスコミやファン叩かれたとしたら、それは松井選手がどれだけ努力しようが声を張り上げようがどうにもならない。
そう、これは、コントロールできないこと。
だから、松井選手は
そういうインタビューの内容だった。災害の多い日本という国に生まれ育った人なら、なるほどね、と思うような当たり前の感情コントロール方法かも知れない。
僕もコントロールできないことをいつまでもくよくよせず、前を向いて歩き始めたのが、結果的には良かったのだろうと思う。
こうして振り返ってみても、アクションすれば必ず何かしらの結果や気づきが得られることの方が圧倒的に多いと感じる。そのことに改めて気付かせてくれた幻のLAツアーだった。すべて結果オーライだ。ついてる、ついてる!
そして、ハリウッドに乗り込む代わりに、次に僕がトライしたのは、落語だ。
演者として初落語に挑戦する機会に恵まれたので、思い切って参加することに決めた。演じることが楽しくて仕方がないと感じ始めていた僕には、チャレンジしがいのあるトライだった。
何が何でも、やりたいことをやり続ける。
そんな気持ちが、どんどん大きくなっていくのを僕は実感していた。