さて、いよいよ「俳優修業(シーンワーク)篇」に入っていきます。
東京ワークショップ2019に参加した後、書籍と座学講座で学んできたイヴァナチャバック・テクニックを実際に使い役者として映画のシーンを演じることを、僕は決断し実行することにしました。
シーンワーク参加者たちは、頭だけなく身体でも体験し、さらに深くイヴァナのテクニックを理解しテクニックを習得するのが目的でした。
2月の頭にイヴァナチャバックの東京WSに見学者として初参加してから3ヶ月。ついに僕も役者デビューとなったわけです。
人前で実際に役を演じ、それを客観的に見たコーチから指導を受けるのは、もちろん人生で初めての経験でした。
僕自身は監督なので、シーンワークを通じてどういう指導やアドバイスを受け、その時、役者の自分がどう感じるのかを肌で感じられる貴重な時間でした。
今後、僕が主宰するワークショップやレッスンでも、俳優のみならず監督や脚本家、制作に携わるあらゆる人たち向けの講座も設けていこうと思うので、その時は是非参加してみてください。
日本では監督は監督、役者は役者と線引きされていますが、グローバルな世界視点で見ると、監督が役者として演技を勉強するのは普通のこと。
全米最古のフィルムスクール(映画芸術学部)を擁するUSC(University of Southern California)などの大学では、監督志望でも役者として演技をすることが授業カリキュラムに当然のように組み込まれている。
それが世界の現実だし、スタンダードな思考です。
今現在、役者以外のどんなセクションで映画や演劇の制作に関わっていようが、実際に役者として芝居・演技というものを学ぶことは作品作りにすごく役に立つし、今までとは違う視点や気づきが必ず得られると思います。
是非、チャレンジしてみてください。
シーンワークの幕があがる
さて、少し脇道に逸れましたが、軌道修正しましょう。
2019年5月23日から1ヶ月(4週間)のスケジュールで、僕は認定コーチ・白石哲也のシーンワークを4回受けることになりました。
ちなみに、ハリウッドのイヴァナチャバック・スタジオでも、僕が見学者として初参加した東京ワークショップでも同じですが、シーンワークは与えられた映画の1シーンをペアで演じます。
男女でペアを組む場合もあるし、男同士、女同士という組み合わせもある。
参加する男女の比率によって、どんなペアになるか、どんな映画の1シーンを演じるのかは、コーチが考えて決定するわけです。
与えられた映画の役は、2週間で1セット(2回のシーンワーク)で完結。つまり1ヶ月間のレッスンなので、都合、映画2作品の2つの役を演じてコーチングを受けるプログラムでした。
で、また奇跡が起こったんです!
なんと参加したのは4名で、僕以外の3名は全員女性でした。つまり、僕はどんな組み合わせになろうが、女性とペアを組むこと確定です。
ま、奇跡かどうかはさておき、座学4回講座でも10名中、男は僕1人だったし、2度も連続でこんな幸運に恵まれるとは想定外でした。
参加者は、僕以外には、女優さんが2名、声優さんが1名という感じ。
そういえば座学でもそうでしたが、声優さんの参加が多いのは印象的でした。イヴァナのテクニックを使ってアニメ・キャラクターの声を演じている人も意外と多いのかも知れませんね。
それに今、声優というのはめちゃくちゃ人気のある職業だし、希望者も多く、役を勝ち取るのは激戦区なんだろうな、とも感じました。とにかく、その学ぶ姿勢は素晴らしいと思います。
僕はダスティン・ホフマンになったのだ
さて、あなたがもし、役者かあるいは映画や演劇に関わっている方なら、今後、僕のシーンワークを受けることもあると思うので、参考までにその流れをお伝えしておきたいと思います。
シーンワークの流れ
シーンパートナー=芝居相手
スクリプト=脚本
台本分析・インナーワークとは12ステップの準備作業
対面で6〜8時間以上のリハーサル
約1時間程度が持ち時間。WSなら30〜40分程度
対面で6〜8時間以上のリハーサル
これで1サイクル完結
以下、同様のサイクルの繰り返し
こんな流れになります。
と感じた人もいるのではないかと思いますが、あなたはどんな感想を持ったでしょう?
そういえば今年(2020年)の僕は、年明けから
- 東京ワークショプへプレイヤーとして登壇
- その2週間後にはハリウッドへ乗り込み、LAブートキャンプに突入
- 終わるや否や休みなく2ヵ月間のティーチャートレーニングを受けた後
最終試験に合格し、晴れて認定コーチになりました。
しかもLAでは、イヴァナチャバックのマスタークラスはもちろんのこと、他のコーチのクラス(ビギナークラス・アドバンスクラス)も毎日見学者として参加して学びつつです。
今思えばハードスケジュールではあるものの、素晴らしいトレーニング期間だし、圧倒的な演技漬けの贅沢な日々だったと思います。
あ、また話が飛んだので軌道修正します。
とにもかくにも、2019年5月23日、僕が役者として受けた記念すべき第1回目のシーンワークは、女優Tさんとのペア、映画は「クレイマー、クレイマー」ということに決まりました。
映画「クレイマー、クレイマー」は、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが主演の不朽の名作です。まだ一度も見たことがないのなら、いい映画ですから是非見てみてください。おすすめです。
こうして、役者目線でイヴァナチャバック・テクニックを芝居をして学ぶ新たな挑戦が始まり、僕はイヴァナ・メソッドの魅力に絡め取られるように、芝居に没入していくことになったわけです。
それにしても、今、想像するに、
もし、このシーンワークを受講していなかったとしたら、僕が認定コーチになるような展開は巡って来なかったと思います。
これは後々気づいたことですが、役者として演じることは、僕が長い間、封印していた過去の思いにリンクしてきました。
これは決して偶然ではなく、イヴァナのテクニックを実践していると必ず誰にでも起こることです。その話はまた別の機会に取り上げたいと思います。
もし、この記事を読んでいるあなたが役者希望の人であれば、あなたが役者になりたい理由、すでに役者ならば、もっともっと成長して大きな舞台に立ちたいという気持ちを突き詰めると、必ずあなたが小さな頃の感情記憶に結びつくと僕は確信しています。
長くなったので、その話はまた別の記事で。
迷う前に飛べ!
これは僕が好きな言葉の一つです。
ただ無闇矢鱈に無鉄砲に飛ぶのではなくあなたのインナーボイス(心の声)が望んでいることがあるなら、あれこれ迷っている時間はもったいないし、更なるステップアップをするためには、勇気を持って最初の一歩を踏み出して欲しいと思います。
後から振り返ると、その勇気ある一歩は、
途方もない意味があったことに気づく日が、きっとやってくる筈です。